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2019年3月16日土曜日

名言集。夏目漱石「吾輩は猫である」冒頭は有名。英語訳は?



「吾輩は猫である」(夏目漱石 新潮社)



傑作だと思います。



超有名な作品ですよね。


冒頭の一節も有名。

しかし・・・

ちゃんと全部読んでる人って少ないような気がします。

私は、その例外(?)の一人です。

しかも、座右の書として、折りあらば紐解いています。




私が何故この作品を愛読するのか?



その第一の理由・・・


面白いから。



「夏目漱石」でネット検索すると

関連ワードとして「あらすじ」が上位表示されますが


この作品には、明確な物語はありません。



でも面白い。



時代は明治、日露戦争の真っ最中。



  1. 旧制中学の英語教師、苦沙弥先生と友人知人達の繰り広げる会話。
  2. それを観察する飼い猫の主観
  3. あちこち出歩いた先で猫が見た物と、それに対する猫の考察
  4. 猫によって語られる登場人物の心理描写
この四つの要素で成り立っています。



四番目の要素、謎ですよね・・・


「何故、猫が登場人物の心理描写をできるのか?」


その理由・・・

「吾輩は猫である。猫の癖にどうして主人の心中をかく精密に記述し得るかと疑うものがあるかも知れんが、この位な事は猫にとっては何でもない。吾輩はこれでも読心術を心得ている」(340ページ)

「人間の膝の上に乗って眠っているうちに、吾輩は吾輩の柔かな毛衣をそっと人間の腹にこすり付ける。すると一道の電気が起こって彼の腹の中の行きさつが手にとるように吾輩の心眼に映ずる」(340ページ)
 

・・・読心術



猫って実際そんな特殊スキルの持ち主のような気もします。

特殊スキル発揮中のデカ猫氏。知らぬが仏の猫着ぐるみ姉妹の姉。





この作品が面白い理由として、まず


登場人物全員キャラ立ちしすぎ

これが挙げられます。

特に個人的に好きなのは自称美学者の迷亭(もちろん酩酊にかけてるんでしょうね)

そして、彼らが交わす長広舌の会話の妙。

漱石先生は落語好きだったそうですが、その影響大だと思います。




この作品が何故面白いのか?


それを突き詰めて考えると結局・・・

日本語の魅力

それを引き出す事のできる漱石先生の日本語力の高さ

この二つに辿り着くと思います。



例えば、語り手である猫が


いきなり第一行目の自己紹介で使う一人称は


吾輩


私でも僕でも俺でもなく

吾輩

冒頭即、キャラのイメージ説明完了。

これは日本語の一人称の種類が多いから可能な手法でもあります。


一人称「吾輩」っぽい猫っていますよね。

一人称「吾輩」(?)のデカ猫氏。




そして文体。


時に数ページに渡って


改行無し


500ページ近い全編活字がぎっちり詰まっています。

しかし、とても読みやすい。

文章力の高さ故です。



散りばめられた警句も秀逸です。


正に名言。

二つだけ例を挙げると・・・


金を作る為の三角術 


「義理をかく、人情をかく、恥をかく」(137ページ)


私、これコンプリートしてますけど、お金が貯まるどころか逆です・・・

ま、それは置いといて・・・


「鏡は己惚の醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である」(308ページ)

コレなんかも秀逸な指摘ですよね?





前述した通り、この作品が書かれたのは日露戦争中


「大和魂」なんて概念が盛んに喧伝されたようです。それに対する風刺も非凡ですが、これも是非実際に読んで頂きたいです。




既述した通り、この作品には起承転結といった物語構成はありません。


部分部分でそれぞれ面白さが完結しています。

それは、どこでも拾い読みできると言う事でもあります。

つまり、数分でも時間があれば

作品世界を楽しんだ上に

漱石先生の日本語力の高さ故に

日本語の語彙を豊富にする事もできます。



つくづく思います。


この作品、外国語に翻訳するの無理

勿論、翻訳は出来ますし実際されてもいますが

抜け落ちざるを得ない部分(翻訳のしようのない箇所)が多すぎます。


先ほど述べた、猫の一人称が「吾輩」


冒頭いきなり原文のニュアンスを伝える翻訳ムリじゃね?





日本語を母国語にしているのに

「吾輩は猫である」の世界を知らないままなのは

勿体ない

心から、そう思います。



















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