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2019年7月2日火曜日

東宝喜劇映画「猫と鰹節 ある詐話師の物語」感想


「猫と鰹節」


猫好きとしては心惹かれるフレーズですが・・・


映画のタイトルです。(1961年 昭和36年公開 堀川弘通監督)

猫は出てきません。



「ある詐話師の物語」


こんな副題ついてますけど・・・

詐話師?

一発漢字変換されなかったし、要するに


人を欺してお金巻き上げる悪い人



この映画の個人的見所は以下の2点



  1. 芸達者すぎる出演陣
  2. 昭和30年代の大阪の風景

まず、出演者

いきなり御大、森繁久彌先生の演説から始まります。

このオープニング、そしてエンディング、劇中でも何ヶ所か画面(観客)に向かって話しかけるという演出。

口八丁手八丁の役柄はハマり役。

というか、まず演技のスキルが高いんですね。

森繁先生の凄さについては

「シシド 小説・日活撮影所」(宍戸錠 角川文庫)

この日活アクション映画ファン(今何人いるのか?)必帯の本にも詳しいです。


カモにされる一人が、バーのマダム役の草笛光子さん


バタ臭い顔(死語)ノーブルなお顔に和服。

いかにも、ちょっと高級なバー(行った事ありませんけど)のオーナー経営者って感じです。

森繁さんと丁々発止の駆け引き。対等に渡りあえる貫禄は流石。(二十代後半にして)

この映画の出演者で令和元年7月現在ご健在の二人のうちの一人。




他の出演者も、昭和の職人俳優の仕事を見せつける豪華な顔ぶれ


・・・もっとも、今や観客として同時代を共有した人達の多くは世を去り、私のようなマニアのみが存在と価値を知る人々。

三木のり平さん

伴淳三郎さん

森川信さん

トニー谷さん

由利徹さん

そして

ミッキー・カーチスさん(もう一人の令和元年7月健在組)

団令子さん

乙羽信子さん

市原悦子さん

小池朝雄さん

西村晃さん



この作品に多用されているのは・・・


長回し

時には数分に渡って複数の登場人物の絡み芝居がカット割りなしで展開します。

出演者の多くが舞台俳優でもあるが故に成立する演出でしょうか?

ともかく、ワンカットで押さえられた自然な流れの演技に驚かされます。





この映画、もう一つの見所



風景


大阪が舞台。実際にロケ撮影されてるシーン多いです。

特に大阪在住者としては興味津々

昭和30年代の・・・

国鉄(JR)大阪駅構内

通天閣周りの新世界

通天閣内部

森繁さんと千葉信男さん(玉子どうふという役名の巨漢)が会話する公園はどこなのか気になります。

あと、川沿いのサクラ・アパートの場所も。小さな橋の近くで室内はセットかも知れませんけど、入り口周りはロケ撮影。

このアパート、見た所風呂なしでトイレもくみ取り共同、実際に住みたいとは全く思いませんけど、映画の中の画としてはいいなぁと思ってしまいます

昭和ノスタルジーって奴でしょうか?

「ALLWAYS」という映画で、ちょっとしたブームになった「幻想」ですけど、個人的には作りモノには興味ありません。

古い映画のフィルムに定着した「リアル昭和」には心惹かれますけど。



昭和は遠くになりにけり


伴淳三郎さんが逮捕される時に「俺は傷痍軍人だ。大東亜戦争の勇士なんだぞ」みたいな事言いますが・・・

確かにこの作品公開されたの

戦後16年目

今から16年前って

2003年

・・・最近やん




映画全体から得体の知れないパワーがみなぎっています。

高度経済成長期故の勢いでしょうか?

作品自体の完成度は決して高くはないと思いますが・・・



スッキリしない気分の時、深夜一人で見ると良いかも知れません。

私は部屋を暗くして昭和の場末の二番館の観客の気分になって楽しみました。




鰹節と戦う玉猫どん。後ろから応援する(?)デカ猫氏。鰹削り器を持って玉猫どんが飽きるの待ってる猫着ぐるみ姉妹の姉。











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