「ザ・ミッション」
1999年香港映画
傑作です。
尺は88分=無駄なし
まずメインの5人を演じる俳優が素晴らしいです
アンソニーウォン
90年代にドニーイェンとは別の意味で大暴れした方。
本作では5人組のリーダー的役割。居丈高に命令する事はなく、しかしチームの中心牽引役だという存在感を示します。
理容師さん役なのですが
90年代アンソニーウォンのイメージが強い者としては
アンソニーがハサミなど刃物持ってるとハラハラドキドキです。
フランシス・ン
個人的には「ン・ジャンユー」という名前で定着しているのですが・・・
2人組の兄貴分役です。
「香港電影城シリーズ」
1990年代に、そんなナイス・ネーミングのムック本があり
私は全5冊コンプリートしてます。
香港映画ファンにとっては宝の山とも言える貴重な情報源。 |
その3冊目「香港銀幕特急」にインタビュー記事が掲載されています。
読書が好きで、特に日本の小説が大好きだそうです
「夏目漱石、芥川龍之介。現代の作家では、村上春樹です。『ノルウェーの森』が好きだった。それに五木寛之の『青春の門』も全巻を読んだし、三島由紀夫の短編も好きです」(「香港銀幕特急」小学館 49ページ)
谷垣健治さんの「燃えよスタントマン」(小学館)にも
日本ロケに向かう飛行機の中で、ずっと本を読んでいて
「横目でチラッとのぞいてみたら、哲学関係の本のようだ。こんな本、読んでわかんのかよ~、読んでるふりして眠ってるんだろ~と思って、鎭宇をチラッと見ると、ホント~に真剣に読みふけっていた」(165ページ)
鎭宇とはン・ジャンユー=フランシス・ン。
本好きとしては好感度アップのエピソードです。
しかも日本の小説が好きとは。
「中国の現代文学って不毛というか、空白が多くてねえ。文化大革命のせいで、消されてしまったものがたくさんあって、だけど日本の文学はバラエティがあって、読み応えがある。それが、羨ましい」(「香港銀幕特急」49ページ)
そういう事だそうです。
読書って文字情報を頭の中で具現化する作業ですよね。
俳優さんの役作りにも重なる行為だと思います。
日常的にそれをやっていれば、役に対するアプローチ・スキルも向上するのでは?
実際、フランシス・ンを見てると、そんな感じがします。
この映画でのフランシス・ンを一言で表せば
「兄貴やさしい!」
ベタベタした甘さ優しさではありません。
ジャッキー・ロイ
フランシスの弟分役
若いイケメンチャラ男
こいつのせいで
ミッション・コンプリート
ギャラ貰って解散
そのはずだったのに
新たなミッション追加(しかもノーギャラで)
こんな展開になります。
ロイ・チョン
イヤな奴の「役」が多い人
ですが・・・
「あと、一番キライな男優は、張耀揚!あいつなー、わがままでよー、本当に役のイメージそのままの奴だぜー。」(「香港銀幕特急」31ページ)
張耀揚=チャン・ユーヤン=ロイ・チョン
この発言の主は
シン・フィオン!
と言っても
誰それ?
一般的には、そんな反応でしょうけど
80年代以降の香港映画の悪役占有率8割(それは大げさ)
名前は知らなくても
「また、あのデカい人出てる」
これでお馴染みの(?)
シン・フィオン先生のインタビュー
こんなレア・コンテンツが掲載されてる「香港電影城シリーズ」は宝の山。(濃い香港映画ファンにとっては)
ホントに役柄のままの人なのか?
リアル・ロイ・チョンのパーソナリティーはともかく、この映画では
ナイスガイ。
そして・・・
コルト・ガバメントのスライドをガチャガチャ動かした後
「リコイル・スプリングを2ポンド重くしてくれ」
このセリフで
ある種の人(私を含む)のハートをゲット。
リコイル・スプリング重くして市販のカートリッジ使うとスライドの後退量不足が起きる。つまり自分で装薬量を増やしたホット・ロードのカートリッジ使うつもりなんだな
・・・今、なに言ったのか理解出来なかった方
あなたは「ある種の人」ではありません。
その方が良いと思います。
ラム・シュー
アゴのホクロから毛が(それも長いのが何本も)生えているという
ロバート・デ・ニーロですら思いつかないような独自の役作りに驚かされます。
終盤、タクシーの中での1人謝罪シミュレーションは感動モノです。
「PTU」と言う映画では
バナナの皮を踏んで滑って転ぶ(しかも2回)
これまた独自のパフォーマンスを披露していました(香港映画限定だと独自でもない)
この作品での定番絶賛ポイント
某巨大ショッピング・モールでのアクション
紙くずサッカー
音楽
完全同意です。
ラスト・・・
「あの、ブランク作動するタウルスどこで調達したんだろう?」
ある種の人にとっては疑問ですが・・・
鮮やかな幕切れです。
この映画、3回見ました。
またリピートする事でしょう。
香港電影城の6冊目が出版されてたんですね。知りませんでした。(5冊目が出た1年9ヶ月後の1999年12月)
新・香港電影城 香港スター伝説
最近、古本屋さんでゲット、相変わらず濃い香港映画にはタマラン内容。
で、ロイ・チョンのインタビューが載っているのですが・・・
映画のイメージと違っていい人みたいですね。
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