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2019年4月23日火曜日

ジョニー・トー監督おすすめ香港映画「ザ・ミッション 非情の掟」ネタバレ感想


「ザ・ミッション」



1999年香港映画

傑作です。




尺は88分=無駄なし


まずメインの5人を演じる俳優が素晴らしいです



アンソニーウォン


90年代にドニーイェンとは別の意味で大暴れした方。



本作では5人組のリーダー的役割。居丈高に命令する事はなく、しかしチームの中心牽引役だという存在感を示します。

理容師さん役なのですが

90年代アンソニーウォンのイメージが強い者としては

アンソニーがハサミなど刃物持ってるとハラハラドキドキです。





フランシス・ン


個人的には「ン・ジャンユー」という名前で定着しているのですが・・・

2人組の兄貴分役です。


「香港電影城シリーズ」

1990年代に、そんなナイス・ネーミングのムック本があり

私は全5冊コンプリートしてます。

香港映画ファンにとっては宝の山とも言える貴重な情報源。


その3冊目「香港銀幕特急」にインタビュー記事が掲載されています。

読書が好きで、特に日本の小説が大好きだそうです

「夏目漱石、芥川龍之介。現代の作家では、村上春樹です。『ノルウェーの森』が好きだった。それに五木寛之の『青春の門』も全巻を読んだし、三島由紀夫の短編も好きです」(「香港銀幕特急」小学館 49ページ)

谷垣健治さんの「燃えよスタントマン」(小学館)にも

日本ロケに向かう飛行機の中で、ずっと本を読んでいて

「横目でチラッとのぞいてみたら、哲学関係の本のようだ。こんな本、読んでわかんのかよ~、読んでるふりして眠ってるんだろ~と思って、鎭宇をチラッと見ると、ホント~に真剣に読みふけっていた」(165ページ)

鎭宇とはン・ジャンユー=フランシス・ン。

本好きとしては好感度アップのエピソードです。

しかも日本の小説が好きとは。

「中国の現代文学って不毛というか、空白が多くてねえ。文化大革命のせいで、消されてしまったものがたくさんあって、だけど日本の文学はバラエティがあって、読み応えがある。それが、羨ましい」(「香港銀幕特急」49ページ)

そういう事だそうです。

読書って文字情報を頭の中で具現化する作業ですよね。

俳優さんの役作りにも重なる行為だと思います。

日常的にそれをやっていれば、役に対するアプローチ・スキルも向上するのでは?

実際、フランシス・ンを見てると、そんな感じがします。


この映画でのフランシス・ンを一言で表せば

「兄貴やさしい!」

ベタベタした甘さ優しさではありません。



ジャッキー・ロイ


フランシスの弟分役

若いイケメンチャラ男

こいつのせいで

ミッション・コンプリート

ギャラ貰って解散

そのはずだったのに

新たなミッション追加(しかもノーギャラで)

こんな展開になります。



ロイ・チョン


イヤな奴の「役」が多い人

ですが・・・


「あと、一番キライな男優は、張耀揚!あいつなー、わがままでよー、本当に役のイメージそのままの奴だぜー。」(「香港銀幕特急」31ページ)

張耀揚=チャン・ユーヤン=ロイ・チョン

この発言の主は

シン・フィオン!

と言っても

誰それ?

一般的には、そんな反応でしょうけど

80年代以降の香港映画の悪役占有率8割(それは大げさ)

名前は知らなくても

「また、あのデカい人出てる」

これでお馴染みの(?)

シン・フィオン先生のインタビュー

こんなレア・コンテンツが掲載されてる「香港電影城シリーズ」は宝の山。(濃い香港映画ファンにとっては)

ホントに役柄のままの人なのか?

リアル・ロイ・チョンのパーソナリティーはともかく、この映画では

ナイスガイ。

そして・・・

コルト・ガバメントのスライドをガチャガチャ動かした後

「リコイル・スプリングを2ポンド重くしてくれ」

このセリフで

ある種の人(私を含む)のハートをゲット。

リコイル・スプリング重くして市販のカートリッジ使うとスライドの後退量不足が起きる。つまり自分で装薬量を増やしたホット・ロードのカートリッジ使うつもりなんだな

・・・今、なに言ったのか理解出来なかった方

あなたは「ある種の人」ではありません。

その方が良いと思います。



ラム・シュー


アゴのホクロから毛が(それも長いのが何本も)生えているという

ロバート・デ・ニーロですら思いつかないような独自の役作りに驚かされます。


終盤、タクシーの中での1人謝罪シミュレーションは感動モノです。

「PTU」と言う映画では

バナナの皮を踏んで滑って転ぶ(しかも2回)

これまた独自のパフォーマンスを披露していました(香港映画限定だと独自でもない)




この作品での定番絶賛ポイント



某巨大ショッピング・モールでのアクション

紙くずサッカー

音楽


完全同意です。







ラスト・・・


「あの、ブランク作動するタウルスどこで調達したんだろう?」


ある種の人にとっては疑問ですが・・・


鮮やかな幕切れです。


この映画、3回見ました。


またリピートする事でしょう。


作動不良が起きるとフィーディング・ランプを紙やすりで磨いたり、マガジン・リップをペンチで調整したり、リコイル・スプリングを2巻きカットしたりして余計状態を悪化させてしまう猫着ぐるみ姉妹の姉。




令和2年12月13日追記

香港電影城の6冊目が出版されてたんですね。知りませんでした。(5冊目が出た1年9ヶ月後の1999年12月)

新・香港電影城 香港スター伝説

最近、古本屋さんでゲット、相変わらず濃い香港映画にはタマラン内容。

で、ロイ・チョンのインタビューが載っているのですが・・・

映画のイメージと違っていい人みたいですね。













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