「新桃太郎」
ゲームではなく映画の話。
台湾映画です。
「台湾映画?候 孝賢 好きだよ」
そういう層は知る由もない世界です(多分)
「今、40代の人」
「カルト映画マニア」
この二つの層には、よく知られている作品だと思います。
一応、あの有名な日本の昔話がベースになっているのですが
色々独自要素が投入されているので
新
そう銘打つ事で「突っ込み封じ」をしているって事ですね。
ある意味傑作だと思います。
作品自体の完成度は、正直アレですけど・・・
特殊効果(合成)はチャチですし
でも、マイナス箇所を補って余りある点が幾つかあり
一目置かざるを得ない作品です(私的には)
秀逸ポイントは以下の4つ
桃太郎役のリン・シャオロウ
雉丸役の人
アクション演出
狙って出来ない(?)独自センス炸裂のクリーチャー・デザイン
それぞれの詳細
秀逸ポイントその1
桃太郎役のリン・シャオロウさん
私のような80年代香港台湾映画マニアなら(「開心シリーズ」好き)
「少女戦士88」でリアル・カンフー・マスターのディック・ウェイ相手に戦ってた子で京劇みっちりやってたから身体能力高いよね。ちなみにディック・ウェイって「プロジェクトA」のラスボスで・・・
ここら辺は常識ですが(世間の非常識)
80年代の日本を僅かな期間とは言え凄まじい瞬間最大風速で席巻したキョンシー映画大ブーム(テンテンちゃんの貢献度90%)
この流れの中で「新桃太郎」が生まれたんですね。
だからキョンシー直撃世代(当時小学生だった人達)には、懐かしい思い出の人みたいです。
リン・シャオロウさん「幽玄道士4」にも出てますし。
一連のキョンシームーヴメントとは無縁で偶然meets「新桃太郎」してしまった人々(そんなパターンはレアでしょうけど)からすれば、まず
性別は?
この疑問が浮かぶと思います。
女性です。
当時(1987年)20歳。
何故、桃太郎という男性キャラ役に抜擢されたのか不明ですが
結果的には良かったと思います。
正にハマり役です(断言)
1990年代には、金城武さん主演の映画にガーリーな役で出演されたりもしているそうですが(私は未見)
見たいとは思いません。
ネットで「今の姿」をチェックする気もありません。
何本か彼女が出演してるアクション映画を見てますが
私にとって
リン・シャオロウ=桃太郎
そのイメージで完結しています
俳優さんからすれば、いつまでも昔演じた役と同一視されるのは迷惑な事かもしれませんが
そんな役と出会えたのは幸せ
こういう見方もアリではないでしょうか?
その役が「桃太郎」という一種のアイコンであれば尚更だと思います。
秀逸ポイントその2
雉丸
オリジナル桃太郎と同じく
猿
犬
雉(きじ)
・・・よく考えたら「何故、この組み合わせ?」(あと、「何故雉が選ばれた?」)
そんな疑問も浮かびますが
このお馴染みの、お供が登場。
最初は、本物の動物3種が出てきてビビりますが
(特に犬は単なる野良犬みたいな奴が・・・)
ちゃんと人間に擬態するので、ホッとするスリリングな展開。
で、雉役人間Verの呼称(日本語吹き替え版)が
雉丸
演じた役者さんは、名前聞いた事ない方です。
このキャラ、主役のリン・シャオロウと同じ疑問を観客に抱かせます。
性別は?
但し、リン・シャオロウが6:4くらいで男予想が優越(?)
それに対して・・・
雉丸は7:3ぐらいで女予想が優越。
・・・だと思います。
実際、どちらなのか知りません。
女性だというネット情報見た事ありますけど
性別だけで無く年齢も謎
十代だったら、どこでも当てはまりそうなファジーな雰囲気。
確かに言えるのは
美形。
当時、「新桃太郎」見た小学生の無垢なハートを
惑わしざわつかせたのではないでしょうか?
なに、これ魔法?
この魔力の影響は子供だけに作用するどころか、むしろ大人にこそ・・・
雉丸役の人が今どうなっているのか?
これも知りたいとは思いません。
雉丸は永遠に謎めいたキャラで良いと思います。
秀逸ポイントその3
アクション。
ワイヤーワーク多用。
しかし「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のような流麗さを生み出している訳では無く
露骨に言えば
荒っぽい
「人間って空を飛べるんだ」
そんなファンタジーを実感させる手法としてではなく
派手に人間をぶん回し引きずるための道具としてワイヤーが使われています。
ユエン・ウーピンのワイヤー演出とは違う世界がここにはあります。
それはそれで存在意義があると思います。
俳優さんは大変だったでしょうけど・・・
リン・シャオロウさんと敵役、どっちもカンフーできるので、そこも見せ場です。
犬雉猿役の子達も身が軽いです。
アクロバットの連発。
ここも見所です。
秀逸ポイント4
独特なセンスのデザインで見る者を唖然とさせるクリーチャー。
これクリエイターが計算してやった結果ではないと思います。
狙ったギャグが往々にして滑る一方、無意識な天然が爆笑を生み出す。
笑いに限らず、意図しない所に効果が発生する
そんな構図だと勝手に思ってます。
その具現化・・・
ラスボス
じゃなくて
最後に窮地に陥った主人公達を救ってくれる
桃の神様
この姿、大笑いさせられつつ少し怖くもあるのですが・・・
神とは幸福感をもたらして下さる存在であると同時に畏怖の対象でもある。
正に神に相応しい奇跡的なデザインだったと思います。
・・・正直、あまりの予想外のデザインとムーヴに腹痛い位爆笑しただけ。
少し怖いってのはホントなんですが
最後にもう一つ付け加えておくべき事は
日本語吹き替えの効果大
日本の外国映画吹き替え技術ってレベル高いです。
声優さんのスキルだけでなく翻訳や演出も。
とり・みきさんの吹き替えに関する本を読むと、それらは長年書けて培われてきたモノなんですね。
「新桃太郎」でも、それが遺憾なく効果発揮してます。
「新桃太郎」は3作ありますが、どの作品から見ても問題ありません。
特に密接にストーリーが繋がってるわけではありませんし、むしろ2と3は翻訳で繋がってる体にしてるだけ(「新桃太郎」シリーズというパッケージにするため?)という感じもします。
3作目のリン・シャオロウさん、何となく
艶っぽい感が・・・
ま、20歳の女子ですしね。
それが当たり前かも知れません。
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「桃の神様」に唖然とする猫着ぐるみ姉妹。
直後、腹筋崩壊。 |