「今日もわれ大空にあり」
1964年東宝映画。
私の様に濃い飛行機ファン(あと年齢高めの方。この両者のシンクロ率高し)の間では有名な作品です。
理由?
航空自衛隊総協力で実機大量出演!!
ここでテンション上がらない人にとっては見る価値ない映画です(え?)
それは過言かも知れませんが、人生の貴重で限られた時間、この映画を見るよりも、もっと優先順位の高い事に使うべきでしょう。
しかし、私のような飛行機マニアにとっては眼福。
この映画の鑑賞に費やす時間のプライオリティ・ランキングは、かなり上位なのです。
ブログって独自情報が必要って、どこかで読みました(要出典)
そりゃそうですよね。
良く知られている情報のバリューは低い。当たり前。と言う事で・・・
独自情報(?)その1
「今日もわれ大空にあり」
実にイカすタイトルですよね。
これ、戦前からシナリオ作家として活躍してた猪俣勝人さんという方が
別の映画の為に書いてた脚本のタイトルなんですね。
「ちなみに39年作「今日もわれ大空にあり」は、その数年前に氏の委嘱による航空機発達外史ともいうべきシナリオの題として、私がつけたものである。その時の私のシナリオは制作費がかかりすぎるという藤本制作担当重役の反対で中止となったが、いつの間にか題名だけが私のまったく関知せざるところで使われていた。」(日本映画作家全史 上
猪俣勝人・田山力哉 現代教養文庫 245ページ)
引用文中の「氏」は東宝のプロデューサー田中友幸さんの事です。
ちなみに猪俣さんと田山さんは従兄弟関係。
田山さんも故人ですが、個人的には意見を拝聴するに値する数少ない映画評論家のうちの一人です。
他にはギンティ小林さんとか、みうらじゅんさんとか杉作J太郎さんとか
・・・
独自情報(?)その2
この作品の脚本を書いた須崎勝彌さんは学徒出陣の14期予備学生で97式艦上攻撃機の操縦員でした。
他にもう1人、日本映画界では
脚本家の直居欽哉さんが13期予備学生。零戦の搭乗員として沖縄戦に参加されてます。
・・・だから?
「So what?」
レア情報=「読者が求めてる情報」ではない。
そういう事ですよね。
ただ、上に挙げたのは、このままだと忘れ去られて無かった事になってしまいそうな情報だと思うので、書き留めておくべきかな、と思います。
映画の話に戻ります。
ストーリーですが・・・
ある集団に新しいリーダーが来て、最初、集団のメンバーは反発するけど、色々あって信頼を得るようになってメデタシメデタシ
このパターンです。
家族の話とか恋愛も絡んだりしますが、可も無し不可も無しレベルです。
手堅いプロの仕事ですが、それ以上でも以下でもありません
この映画の最大の売りは繰り返しますが
航空自衛隊総協力で本物の飛行機大量に登場。
メインはF86F
その他、T6、T33、F104
しかも、有り物のフィルムを流用というお手軽パターンではなく、結構新規撮影してます。
更に、ただ実写映像が多いだけではなく
うるさ型飛行機マニア(私とか)大喜びのアングルも多し。
この映画、特撮怪獣映画全盛期の東宝作品なのに・・・
特撮濃度極薄。
特撮使って無い
F86Fの胴体フルスケール・モデル(完成度高し)に俳優載せて飛行シーン撮影してる以外は
全部実写。
出演者について
この頃は、まだ東宝は専属制(端役まで、みんな社員)ですから、
いつもの面々
但し、そう思ってしまうのは、私のような映画マニアか、当時を知る人達ですね。
そうでない方には新鮮でしょう。
三橋達也さん、佐藤充さん、夏木陽介さん・・・
昭和の男達です。
三橋さんなんか大正生まれのシベリア抑留経験者。
思えば、この作品が公開された1964年(昭和39年)って
戦争が終わって20年経ってなかったんですね・・・
今現在から20年前って
1999年。
個人的には割と最近ってイメージなんですけど。
女性出演者は
新珠三千代さんが三橋達也さんの妻役で清楚な存在感を放ってます。
この夫婦関係も昭和的というか、妻は一歩下がって内助の功ってイメージで描かれていて時代を感じます。
特筆すべきは
お下げのセーラー服の「こんな子、今は居ないだろ」って純朴少女が
芳紀15歳の
酒井和歌子さん。
見た目によらず、オマセさん(多分口だけ)で
ギャップ萌え
を先取りしています。
まとめ
この映画の魅力は
舐めるように撮影されている本物の飛行機と
酒井和歌子さんです。
この作品が映画デビュー作だそうですが・・・
酒井和歌子さん
「今、あんな子いない」(しつこい)
・・・
映画ってオープニング大事ですよね?
まず冒頭でお客のハートをゲットして日常から作品世界に引っ張り込まないと、最悪その映画を見る事自体放棄される危険性もあります。
その点、この作品は秀逸。
内容については「可も無し不可も無し」なんて上から目線で偉そうに評価しましたが
オープニングは素晴らしい。
「つかみはOK」
映画史に残るカッチョイイ始まり方!
タランティーノの「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」に匹敵します。(ま、この2本は選曲の妙だと思いますが)
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