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2018年10月19日金曜日

ネット通販と古本の話

ネット通販って便利です


使い始めて、まだ1年位しか経ってないんですが(遅)

基本的に本しか買ってませんし。


ピンポイントで欲しい本が決まってる時は本当に便利だと思います。

但し、気をつけなければいけないのは、買い物するたびに

個人情報をばらまいてるって事。

そんなに神経質になる必要はないとは思いますし、ネット通販の利点を知ってしまうと止める事はできませんよね。


ま、本好きとしては目当ての絶版本探して古本屋さん巡りするのも楽しいのですが・・・

昔、大阪球場跡に古本屋街が入っていた時代がありまして、年間300日以上は通ってました。

そこは今、住宅展示場を経て「なんばパークス」と言う巨大複合商業施設になっています。



ここ十年位で古本屋さんがめっきり減りました。


大阪日本橋に老舗の店がありまして、特に歴史本(第二次世界大戦関連)が充実していたので、よく利用していたのですが、昨年の夏に閉店してしまいました。

昭和20~30年代に出版された戦記体験記なども沢山あり、いつか買おうと思っていた本もありますが、もう手に入らないでしょうね。

タイトルを覚えていないので、ネットで検索する事もできません。

本に限らないと思いますが一期一会だな、と思います。




古本といえば全国展開してる有名某大手チェーン。


時々覗いてますが「今日はお客少ないな」と感じた事はありません(地域差があるのでしょうか?)

最近目に付くのは、結構お年を召した方々(見た感じ定年後)、しかもご夫婦らしきお二人でカゴに大量の本を入れて店内を物色する姿。

電車の中でも、スマホいじってる人多いですけど読書派も結構居ますよね。

「本離れ」とか「出版不況」みたいな話も聞きますが、本に対するニーズ自体は結構あるのかな?と感じます。

ただ、古本売れても作者や出版社の利益にはならないんですよね・・・




読者の立場から言って古本ならではの良さは・・・



安い

これが一番に挙げられると思います。


それ以外、個人的に価値を感じてる部分は・・・


元の持ち主の匂いが残っている

嗅覚で判別する匂いの事ではありません。


実際、タバコ臭かった事もありますが・・・

髪の毛が挟まってたた事もあります。


そう言う事ではなく、

書き込みとか、折り目とか元の持ち主が実際この本読んでたんだな、と実感させる痕跡の事です。

そういうのあると、色々想像が膨らみますよね。



私の経験で言えば・・・



「白線と短剣」 和田良信 昭和出版


旧制一高から東京帝大を経て学徒出陣、海軍経理学校卒業後主計科士官になられた方の自伝です。

ネット通販ではなく上記した日本橋にあった古本屋さんで購入。

海軍時代の話を読みたくて買ったのですが旧制高校に関する章も大変面白かったです。

この本に関しては店頭で手にとってパラパラ拾い読みして興味深そうだったから買いました。ネット上では巡りあう事すらなかったでしょう。

とにかく旧制高校生って大量に本を読んでたんだな、と思いました。(ドイツ語やフランス語の原書も含めて)

それがステイタスだったんですね。

ま、美化されてるというか青春に付き物の醜い部分はオミットされてますが。

海軍主計士官としての経験で特筆すべきは

601空(海軍第601航空隊)が第二御楯特別攻撃隊という特攻隊を出撃させた時、その部隊に所属して、隊員達を間近に見ている事。

出撃前の壮行の宴が開かれている夕方

『廊下を曲がったところでバッタリ桜庭中尉と出会った。敬礼をして思わず
「桜庭中尉」
と呼んでしまった。立っていた時間は数秒のことだったと思うが、大きくうなずいて
から
「有り難う、卑怯者とは云われたくないからな」
ニヤッと笑うとスタスタと士官室に入って行った。』(296ページ)

同じ主計科士官に宮村という方がいらっしゃるのですが


『どっかりとベッドの縁に腰をおろし、しばし放心したように夜空を見上げていると宮村が入って来た。
「おう、和田、どうすればいいんだ」
いつもギョロリと光る独特の大きな眼、それが今は、明らかに泣いた眼であった。
「いま、若い搭乗員に泣かれちゃった。《分隊士、おれ、死ぬのが恐いんです。どうしたらいいんでしょう》って云うんだ。俺には、いまの俺には、どうしてやることも出来ないんだ・・・』(298ページ)

この若い搭乗員、相手が主計科の士官なので心情を吐露できたのでしょう。

その場に実際にいた人間ならではの生々しい貴重な証言だと思います。

海軍のナンバー航空隊で百の桁が6は本来なら航空母艦に搭載される母艦兵力。
航空母艦への発着艦が必要なので、陸上の飛行場を基地にする航空隊より練度が高いと言われていました。

そのためでしょうか、この攻撃で正規空母サラトガを大破させ、護衛空母を一隻撃沈します。
ちなみに、特攻攻撃で撃沈された正規空母、戦艦、巡洋艦といった主力艦艇は一隻もありません。
護衛空母は正規空母の三分の一程度の排水量の小型空母で、これは、この時を含め3隻撃沈されています。

戦争の空しさを実感するのは、サラトガという空母、かなりの老朽艦なのですが、度重なる特攻攻撃に耐え・・・

1946年7月25日、ビキニ環礁での水爆実験で沈められました・・・

日本の若者達が文字通り必死になって沈めようとした船は結局アメリカによって葬られたのです。




元の持ち主の痕跡について話を戻すと・・・



1978年第四刷なのですが

中にレシート貼ってありました。

それによれば購入は1980年4月12日、旭屋書店 大阪駅前店にて。

しかも、

購入者(ですよね)の名前と住所、電話番号、日付入り(4月12日)のハンコが押してありました。

こういうハンコってあまり一般的じゃないですよね。そういう物が必要な職業の方だったのでしょうか?

本の中身は赤線だらけ。

赤のボールペンで定規を使って几帳面に引いてあります。

元の持ち主も作者と同じような経歴の方だったのでしょうか?

もし、そうなら亡くなっている可能性が高いでしょう。

しかし、その方が愛読した本(本自体は綺麗でしたが中身は丁寧に引いた赤線だらけ、と言う事からの推測)は、私の手元にあり、戦後も数十年経って生まれた人間に様々な知識を与え感銘を受けさせてくれました。



驚いた事に、作者の和田良信さんについてネット検索してみると

2014年に93歳で亡くなっていました。




私が、この本を入手したのは2012年くらいだったので、その時はまだご存命だったんですね・・・















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